ペットとの思い出、犬との出会い

私は幼い頃の忘れられない恐怖から、大人になっても、犬嫌いは通していました。

そんな私の信念を変えさせたのが、近所の嫌われ者の凶暴な犬ハナだった言う意外だったストーリーをお話しさせていただきます。

前回の記事の重複になりますが、凶暴な犬、

ハナとの出会いは自宅の玄関の前でした。

目の前のハナは、私を見るなり、小さな唸り声をあげて、私を威嚇してきました。

両者の睨み合いは長く続きました。

恐怖心から私がそう思ったのかもしれません。

とっさに思いついたのがピーの餌でした。

家内が用意してくれた餌を、思い切って手の平に乗せて、ハナの鼻の前に差し出しました。

この行為が、今後、私の犬嫌いを克服することになるとは、夢にも思いませんでした。

ハナの警戒心はとれたようで、綺麗に食べ、私の手の平を舐めてくれました。

私にとって、一大決心でした、手を噛みつかれる恐れもあったからです。

以前ネコのミイの奥歯にかかった魚の骨を除いてやったのと同じでした。

その日を境に、ハナと私の結びつきはかたいものとなっていきました。

私の家の庭にあらわれる日が、急速に多くなってきました。    

ピーがひがむのではないかと思って、ピーの餌以外のピーが食べないものを選びました。

せんべいとか、そのほかの食べ物を与えました。ハナはなんでも喜んで食べてくれました。

ハナはふだん、気の毒な身の上の生活だったようだと推察できました。

ハナの凶暴になった原因がこのへんにもあるのではないかと、思いました。

家族がハナを可愛がるのをピーは、面白くないらしく、嫉妬するようになっていきました。

家の網戸越しにハナを見るなり、うなり声をかけ、威嚇するようになりました。

ハナに餌をあげるのが、気に入らないらしく、ハナがあらわれる事が不満そうでした。

ハナに与えないように、自分が食べたい意思を示してきました。

これほど執拗な嫉妬が続くちは思っていなかったので、これには閉口しました。

ふだん食べない、せんべいを食べたのは驚きでした。

さらに、ハナを見ると、網戸越しにピーとハナの睨み合いは続きました。

ハナはそれほど意識していないようで、自然体となっていきました。

ピーも、あまり意識しないようになっていきました。

ハナは私達家族には益々忠実で隷属的になってきました。

道端で、私を見つけると、まっしぐらに近づいてきました。  

倒すとすぐにお腹を見せて、降参の合図を示しました。

近辺では悪名高いハナが、扱い一つで、こんなに従順な犬に変身するなんて?

犬も、愛情のかけ方で変わって行くのだと改めて学ばせてもらいました。

ハナの飼い主は、ハナの被害にあった人の苦情から、ハナを出さないように、クサリをはめて、用心するようになりました。

しばらくハナはあらわれなくなりました。

そんなある日、ハナが突然庭にあらわれたのです。  クサリがゆるんだのか?

ヒモをつけたまま、庭にあらわれました。

二軒の塀を乗り越えてやってきたのです。

息を切らしての突然の訪問に、驚くばかりでした。   真っ先に来てくれた事はうれしい限りでした。

その日はハナの好きなものを振る舞って私達のうれしい気持ちを伝えました。

近所のハナの飼い主は、近所の人への被害を恐れ、逃げないように、より強い拘束をするようになりました。

ハナを2週間程見かけない、寂しい日が続きました。

車で出かける事が多いのですが、たまたま徒歩で出かけたある日、ハナの家の前でハナを見ました。

ハナも私を見つけると、繋いであるクサリを思い切り伸ばして、嬉しそうな顔を見せてくれました。

飼い主が、ハナを可愛がってもらっていてありがとうと、挨拶されました。

忙しい仕事を夫婦でなさっているので、犬の面倒を見てやれない、自由に見てやってくださいと言われました。

同じ列の3〜四軒の近所の方なので、たまに、ハナを見させていただきたいですとお願いしておきました。

それからは、私と家族は、週に二度前後はハナに会いに行くようになりました。

飼い主から、私達が訪れた日はハナが元気そうでと言われました。

おせっかいと思っていないようで、ほっとしました。

ハナが、会うたびにうれしそうに迎えてくれたあの笑顔は生涯忘れる事はないと思います。

そんなある日、自由を失ったハナは、運動不足からストレスがたまっていたようで、元気な笑顔がみられなくなっていきました。

好きなものを振る舞っても、食欲かないようで、無理をして食べているように見えました。

せっかくの差し入れと思っての、気遣いなのかと愛らしくも思いました。

ハナがあまりにも、辛そうな姿を見て、思い切って、息子が飼い主に、知り合いの獣医に見せたいとお願いしました。

ご夫婦は共稼ぎなので、お任せしますとの了解を頂き、日頃ピーを見ていただいている獣医に診ていただきました。

診断の結果は腹水がたまっているのと加齢が原因だと言われました。

寒い犬小屋の中ではなく、温かい所が良いと言われました。

飼い主には、伝えましたが、あとは飼い主の判断次第と思いました。

その後10日くらいでハナは亡くなりました。

ハナの飼い主が、日頃のハナの世話を感謝してるとの礼を頂きました。

ハナの治療費を払わせていただきたいとの申し出がありましたが、私どもがかってにやったので、気持ちだけいただき、辞退しました。

私はハナとの短い間でしたが、私に貴重な大切な温かな心を持たせてくれました。

かたくなな犬嫌いと言う偏見を改めさせてくれました。    又、犬を見るのも微笑ましく思えてくるようになりました。

お陰で、自分の世界が少し広がってきたようになり、決め付けはけっして、良くないと学ばせていただきました。

ペットとの思い出として、ミイ、ピー、ハナと書かしていただきました。

ありがとうございました。